考えれば考えるほど、透明人間なんてつまらないバカげたものだとわかってきたよ
うまい話に良い面しか考えずに飛びついて失敗ばかりしている人が
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最初は布が透明になり、次に猫、そしてグリフィン自身の体も透明になってしまいます。
あまりにも怪しげな実験装置を部屋に置いて一日中奇妙な音を立てて実験していたものですから、家主に不審がられてグリフィンは透明な姿のまま騒ぎを起こして逃げ出します。
裸で逃げ出したので、行く先々で服や食べ物を奪いながらアイピング村の<駅馬車亭>という宿屋にたどり着きます。
顔中を包帯で覆い帽子をかぶって頭のてっぺんからつま先まですっぽりと服につつまれているグリフィンの風貌に<駅馬車亭>の主人たちは不審がります。
それでもグリフィンが宿賃を払っている間はまだ大目にみていました。
しかし送金が遅れて支払いが滞ると、何かに理由をつけてグリフィンの正体を探ろうとしてきます。
そんな中、町で盗難事件が起きてグリフィンは真っ先に疑われました。
疑われて追い詰められたグリフィンは透明人間であることを明かし、村の人々を驚かせ暴れながら逃げ出します。
グリフィンは荷物も何もかも残したまま裸で逃げ出したので、浮浪者のトマス・マーヴェルを半ば脅して協力させます。
しかし、トマス・マーヴェルにお金と研究用のノートを持ち逃げされて存在がばれたため、グリフィンはそこの村人たちにまたしても追われることになります。
そしてたまたま忍び込んだ家が大学の同級生のケンプ博士の家でした。
ようやく落ち着くことができたグリフィンは、自分がどうして透明人間になったかを、ケンプ博士に語り始めます。
これが後に彼自身の首を絞めることになるのですが、、、
果たして透明人間の秘密とは???
そして、グリフィンの末路はどうなったのでしょうか?
グリフィンがケンプ博士に透明人間でいる辛さをしみじみと語っている場面です。
最初は透明人間になることの利点しか考えていなかったグリフィンでしたが、いざなってみたら厄介なことしか起こらない現実に失望してしまいます。
『僕だって透明になれる!』と、くりかえしたよ。
それは神秘であり、力であり、自由だった。短所など、ひとつもない。
(P177)
透明人間だとものすごく得をすることに、気づきはじめていた。何をしようが罰をうけないのだ。
(P196)
だが、自分のまぬけさかげんを思い出すくらい、腹の立つことはない。
(P231)
ぼくがあじわったのは失望ばかりだった。
いくら手にはいっても、それを楽しむことができないんだ。
考えれば考えるほど、透明人間なんてつまらないバカげたものだとわかってきたよ
(P232)
恐らく誰もが(特に中学生男子)人生で一度くらい「透明人間になりたい!」と思ったことがあるのではないでしょうか?
そんな「透明人間」になる目的は「他人に気づかれずに、イケナイことができる」からですよね?
具体的には
etc
こういった「禁じられているものをばれずに堂々とできる」ことへの欲望は、昔も今も変わりませんね。
だからこそ、「透明人間」は長年映画や小説の題材になっているんだと思います。
しかし、どんなものにも良いことばかりではない面の「リスク」というものがあります。
透明人間のリスクは・・・
そして、この小説で一番特徴的なリスクは「元に戻れない」ことです。
グリフィンは科学は魔術を超えると思い込み全てにおいて万能だと信じ切っていました。
透明になれる薬を開発したことで有頂天になり透明人間になれる素晴らしさしか考えませんでした。
それによって人間に戻れる研究が完成しない内に、人間から追われる身になってしまいました。
ここから言えることは
ということではないでしょうか。
世の中に万能なものはありません。
グリフィンの過信した科学力も使い方次第で人類や環境の助けにもなるし、逆に破壊することにもなってしまいます。
人から化け物として人に追われ続けていたグリフィンは身を守るために、優れた科学者から殺人や強盗を正当化する犯罪者に変ってしまいました。
今の世の中には良い点だけを強調した情報が溢れかえっています。
etc
企業としては買ってもらうためにはしょうがないのですが、その情報を鵜呑みにするのではなくて疑うというかリスクも考えてみてください。
投資やギャンブルででお金を増やそうと借金までしてどんどんつぎ込んでしまうというニュースもよく聞きます。
こういったもの自体は決して悪いものではなく、問題はどう利用するかですよね。