そんなとき、がっきの音は、ますますうつくしくひびき、聞く人の心をゆりうごかすのでした。
今いち自分の言いたいことが届いてないと思っている人が
- 人を感動させる表現力を身につけられる
- 心を大切にすることが分かる
『スーホの白い馬』のあらすじ
昔、モンゴルにスーホという羊飼いの子どもが貧しい生活を送っていました。
ある日、スーホは生まれたばかりの白い子馬を拾ってきて育てることにします。
子馬は弟のようにかわいがるスーホの愛情を受けて雪のように白く、たくましい立派な馬に成長していきました。
しばらくたち、この地区を治めている王様が競馬大会を開き、優勝した馬の騎手を娘の婿にすると大々的に宣言しました。
スーホは貧しい生活から抜け出したく、白い馬に乗って競馬大会に参加して見事に優勝することができました。
しかし、王様はスーホの貧しい身なりを見るなり約束を反故にして「銀貨3枚やるからその馬を置いていけ」とスーホに命令するのです。
スーホが命令を拒否すると、王様は激怒してスーホに暴力を加えた上に白い馬を強引に取り上げてしまいました。
スーホは友人の肩を借りなければ歩けないほど傷ついて、家まで悔しさを滲ませながら帰りました。
一方白い馬は王様がまたがろうとした途端、王様を振り落としてスーホのもとへ帰ろうと走り出します。
王様は怒り狂い、逃げ出すくらいなら殺してしまえと兵隊たちに命令します。
矢が何本も体に突き刺さりながらスーホのもとにたどり着いた白い馬は、その傷がもとで死んでしまうのです。
悲しみのあまり何日も泣いていたスーホの夢の中に白い馬が出てきて「自分の体を使って琴を作ってほしい」とお願いします。
白い馬の体を使って作ったスーホの琴の音は美しく響き、聞く人の心に染みわたっていきました。
やがてその琴は羊飼いたちの間に広まっていき、その日の仕事が終わるとみんな琴の音色で疲れを癒していくのでした。
名言の状況
スーホは殺された白い馬の体全てを使って、楽器を作りました。
これが「馬頭琴」です。
羊飼いの仲間が一日の労働を終えて、集まっているところにスーホが馬頭琴を弾く。
その音色にみんな心癒されるのでした。
名言の本質
人の心を動かす音楽の条件って何でしょうか。
演奏の上手さはもちろんあると思いますが、それだけではない気がします。
やはりそこに、演奏者の想いがどれだけ込められているかではないでしょうか。
そして色んな感情が混ざっていた方が、より深みのある音楽になると思うのです。
スーホには
- 白い馬を殺された悔しさ
- 白い馬に乗って走り回った楽しさ
- 白い馬を殺させてしまった無念さ
- 死んでもそばにいてくれるという喜び
という喜怒哀楽の感情が音楽に乗り移っているからこそ、馬頭琴の音色は聞く人の心を揺り動かすのです。
行動への応用
様々な感情や想いが込められた音楽は人の心を揺り動かし、感動させることができることは分かりました。
これを応用すると、音楽だけに限らず人が表現できることは、誰かの心を揺り動かし感動させることができるということではないでしょうか。
例えば、スピーチで何万もの人を感動させる偉人は世界中にいます。
キング牧師、リンカーン、スティーブ・ジョブズ、マララ・ユスフザイ、
日本人の名前がパッと浮かばないのは残念ですが・・・
彼らのスピーチに感動するのは話すテクニックもありますが、心から訴えたいことを露わにした感情に心が動いたからでしょう。
流暢だけどただメモを見て話すつまらないスピーチもあれば、たどたどしくても聞く人の心を動かして感動を起こすスピーチもあります。
そこにはいかに“心”があるかどうかです。
絵画だって写真だって文章だって上手なんだけど、一歩歩いたら忘れてしまい、全く覚えていないということはありませんか?
逆に誰も注目していないけど「なんかこれいいんだよね」というのもあると思います。
それは作り手の感情を無意識に感じて心が動いたのかもしれませんね。
大勢の人を感動させることができるのは確かにすごいことですが、僕はそういう小さな心を動かす出会いが好きです。