おしいれって ねずみばあさんの くになんだよ。 だいぼうけんの できる ところなんだ。
新しいことに挑戦することにためらっている人が
さくら保育園にはこわいものが2つあります。
ひとつは「押し入れ」で、もうひとつは「ねずみばあさん」です。
「押し入れ」は、先生の言うことをきかないと子どもたちが閉じ込められてしまい、「ごめんなさい」というまで出してもらえません。
「ねずみばあさん」とは先生たちのやる人形劇に出てくる気味の悪い声で子どもたちを怖がらせるおばあさんの人形です。
お昼寝の時間におもちゃの取り合いでケンカになった、あきらとさとしはみずの先生に「おしいれ」に入れられてしまいます。
すると暗い押入れの壁の中から、ねずみばあさんがたくさんのネズミたちを引き連れて現れました。
そしていつのまにか押し入れの壁には別の世界に続くトンネルが現れていました。
あきらとさとしは手をつなぎ、おしいれの冒険へと旅立ちます。
2人は持っていたおもちゃの車と機関車に乗って、迫りくるねずみばあさんから必死に逃げます。
トンネルを抜け、無人の高速道路を走り、くさい下水道の中を流されて、たどり着いた先には・・・?
あまりにも出てこないあきらとさとしを心配したみずの先生は、これ以降押入れに子どもたちを閉じ込めるのをやめました。
代わりにこどもたちは率先して押入れの中に入って遊ぶようになりました。
なぜならさとしがみんなに押入れの冒険のことを話したからです。
「おしいれって ねずみばあさんの くになんだよ。 だいぼうけんの できる ところなんだ。」
そして、「押し入れ」と「ねずみばあさん」は子どもたちの大好きなものになったという結末の言葉です。
『おしいれのぼうけん』では「押入れ」と「ねずみばあさん」が怖いものから楽しいものへ変わりました。
その変化をもたらしたのは、
ではないでしょうか。
あきらとさとしが2人で手をつないで次々に現れる逆境にも協力しあったから、この冒険をくぐりぬけてねずみばあさんからも逃れることができたのです。
そして、最後はきちんと謝ることもできて精神的にも成長することができています。
余談ですが、この本の最初と最後の保育園の絵を見比べてみてください。
最初は門のところに「あそびにはいらないでください」という貼り紙がありますが、最後ではなくなっています。
これは作者が「保育園では思いっきり遊んでほしい」という願いを込めたものだそうです。
これを大人に当てはめるとどうでしょうか?
何か新しいことを始めようとするのはとても怖いですよね。
今のままでいれば安泰なのに、あえて挑戦するというのはリスクもあって失敗も怖いと思います。
そして必ず「無謀」だとか「無理」だとか言って挑戦をあきらめさせようとする人も必ずいるものです。
もし、あなたが本気で挑戦したいのなら、まずは「勇気」をもちましょう。
それがなくては「ねずみばあさん」の恐怖には勝てません。
次にあなたの挑戦を応援してくれる仲間を見つけましょう。
どんなに無謀だと思う挑戦でも、応援してくれる人は必ずいます。
できればただ無責任に応援してくれる人ではなくて、一緒に成長できるような仲間がいれば良りいいですね。