動物は命あるかぎり、希望と信頼を持ちつづけるのだ。
頭で考えすぎて実行に移せない人が
イギリスのヨークシャー州のグリノール・ブリッジ村に住む少年、ジョー・キャラクローはコリー犬のラッシーを飼っていました。
ラッシーがこの村で一番有名な犬なのには3つの訳がありました。
しかし、ジョーの父親、サム・キャラクローが仕事を失ってしまい、これ以上一家を植えさせないために止むを得ず、ラッシーを金持ちの貴族、ラドリング侯爵に売ってしまいました。
それでもラッシーは侯爵の家からジョーを学校に迎えに行くために、何回も逃げ出してしまいます。
結局これ以上逃げられないように、ラッシーはヨークシャー州からはるか遠いスコットランドまで連れていかれてしまいました。
しかし、ここでもラッシーは脱走し、本能と勇気で傷つきぼろぼろになりながらもジョーの元へ帰っていきます。
ジョーはスコットランドがはるか遠い場所だと聞かされました。
ジョーは毎日学校にラッシーがいるか期待していましたが、何日か経つとそんなことがあれば奇跡だとあきらめるようになっていました。
しかし、人間があきらめても動物は命があるかぎりあきらめませんでした。
ラッシーは約1500㎞の道のりを経て、スコットランドからグリノール・ブリッジ村まで帰ってきたのです。
人間は他の動物に比べて頭で考えることが多いので、無理なことだと判断するとそこであきらめがちです。
しかし、犬などの動物は頭で考えるよりも「本能」で動きます。
そこに命がある限り、どれだけ体が傷ついて毛並みがぼろぼろになっても希望を捨てずにあきらめることをしません。
人間も頭では無理だと判断しても、動物としてもっているはずの「本能」でまだあきらめずに突き進んではどうでしょうか?
頭では無理だと分かっていても、だめもとでやってみたらできたという経験は誰にでもあるでしょう。
人間は頭で考えすぎる分、理性や常識というものに捉われすぎてしまいます。
やってみればできることでも、考えすぎて勝手にブレーキをかけてしっているのではないでしょうか。
しかし、人間も動物であることを忘れてはいけません。
にんげn
全ての動物が持っている本能を信じて、そのままのまま突き進んだ方がいい場合もあるのかもしれません。
本気で成し遂げたければ理性を捨てて本能のまま、命ある限り進むことも必要ではないでしょうか。
ラッシーは、いくらお金を積んでも買えない、貧しい村人たちのプライドを象徴していたのだ。
犬で有名なこの村では立派な犬を育てると高く売れることがあります。
特に貧しい家の人たちは犬をお金持ちに売ることが多いのですが、ラッシーだけはいくら高いお金を積まれても売ることはしませんでした。
その理由はラッシーはこの村の象徴であり、村人たちの誇りだったからです。
誇りというものはお金には代えられない価値があります。
しかし、やはり家族を飢えさせないために、ラッシーはお金持ちの侯爵の家に売られることになるのです。
その代わり、心と体の中に、あることをしたい、しなければならないという欲求がわきおこってくるのだ。
侯爵の家にもらわれていったラッシーは、檻の中で「何かをやらなければいけない」という気持ちになりました。
それはラッシーが毎日決まった時間に行っていたことでした。
それに気がついたラッシーは檻から脱走してジョーの学校へ向かいました。
いつどんな状況においても自分のやるべきことをやろうとする気持ちは大切にしたいですね。
ひとつのことに、しっかりしがみついてやりとおす。そうやっていると、人から信頼を受けるようになるんだ。
ジョーの父親、サム・キャラクローは正直者でした。
脱走してきたラッシーを家でまた飼いたいとジョーはサムにお願いします。
しかし、サムはラッシーを売ってお金を受け取った以上、以前のように家で飼うことはできないとジョーを説得します。
正直でさえいれば、どんなに苦しくても周りから軽蔑されることはないとサムは言うのです。
ところが、突然、これまで教わってきたことが、役に立たなくなったのだ。
スコットランドから戻ってくる旅の途中でラッシーはお腹が空いてたまりませんでした。
しかし、「皿に盛ってある餌しか食べてはいけない」と教えられていたラッシーにとっては、この状況は今までの教えが全く役に立たなくなってしまったのです。
今の状況が安定しているからと言って安心しきってしまうと、突然状況が変わたらどうすることもできなくなってしまいますね。
これが自然のおきて、人間のように遊び半分で殺すのではなく、生きるために殺したのだ。
ラッシーはウサギをとって食べることを覚えました。
それからはお腹が空くとウサギを捕まえ食べるようになりました。
ただしそれは人間のようにゲーム感覚で生きものを殺すのではなく、生きるために必要だから殺したんです。
人間はたいてい、けがをすると、ほかの人に見せて同情してもらおうとする。
ラッシーは急流の川に落ちて岩にぶつかり、ろっ骨を折り後ろ足を一本負傷してしまいました。
人間だったらここで誰かにけがを見せて同情されようとしますが、動物は違います。
動物はなるべく弱みを隠そうとします。
ラッシーは体を回復させるために、茂みの中に隠れました。
その結果が回復か死かは分かりません。
ラッシーを勝利にみちびいたのは、この血の力だった。
牧場に迷い込んだラッシーは羊を襲う野犬と間違われて、犬を2匹けしかけられました。
2匹の犬相手にラッシーは負けそうになりますが、ラッシーには他の犬にはないものがあります。
それは「血統」でした。
コリー犬は誇り高い先祖の血を受け継いでいます。
ラッシーは自分の血統を本能で感じて、誇りを捨てずに勇ましく立ち向かい犬を倒しました。
血統を馬鹿にできませんね。
いつも、どうぞ、っていうのを忘れちゃいけない。そうすりゃ、世の中もっとうまくいくようになるさ。
陶器を馬車で運んで売っている行商人のローリーはラッシーを見つけ、しばらく何となく一緒に行動するようになります。
ローリーが村の広場に馬車を停めるとたくさんの人が集まってきました。
陶器を売り終わると、相棒の犬のトゥーツが道具を使って曲芸を始めました。
その道具を拾ってくるようにローリーはラッシーに言いました。
道具を拾ってこい!
しかし、ラッシーは動きません。
そこでローリーは言いなおしました。
道具を拾っていただけませんでしょうか?
すると、ラッシーはゆっくり動きました。
「分かったろ」とローリーは見学の子どもたちに礼儀の大切さを教えました。
それなのに、おれたち人間がいちばん賢いってことになってるとはな。
ローリーが旅を続けようとラッシーを促しますが、ラッシーはもう動きませんでした。
お前はただの犬じゃないんだよな?お前の考えていることを知りたいよ
ラッシーは吠えましたがローリーは首を振りました。
残念だけど俺には分からない。
お前は人間の言葉が少しは分かるようだけど、人間は犬の言葉が分かるほど賢くないんだ。
それなのに、人間が一番賢いことになってるとはな!
ぼくがラッシーをほしがってるんじゃない。ラッシーがぼくたちをほしがってるんだ。
遥か遠いスコットランドからラッシーが帰ってきました。
今度こそラッシーを手元に置きたいジョーは母親に訴えます。
母さんは分かってない!
ラッシーがあんなに長い距離を歩いて帰ってきたのは、僕らを必要としているからなんだ
誰かの役に立ちたいと思う気持ちは、どんなに遠い距離も乗り越えられるパワーをくれるんですね。
そしてぼくたちに幸せをもってきてくれたんだ。
ラッシーがいなくなってから、家の中の雰囲気はとても悪くなっていきました。
父親と母親は小さいことで言い合うようになり、いつも何かイライラしているように見え枚s田。
そして2人とも疲れた顔をしているので、ジョーもなかなか話しかけられなくなっていました。
しかし、ラッシーが帰ってきてから以前のような明るい雰囲気が戻りみんな笑顔になれました。
「福の神」を手放してはいけませんね。