「からだの よわい おとうさんまで いくさに いかなければ ならないなんて。」
自分の思いや意見を言うことが苦手な人が
- 「言う」以外の方法でも伝えることができる
- 自分の本心を伝えることの大切さがわかる
- 今の言いたいこと言える時代に生まれたことに感謝できる
『ちいちゃんのかげおくり』のあらすじ
明日はお父さんが戦争に行ってしまう日です。
ちいちゃんはお父さん、お母さん、お兄ちゃんと先祖の墓参りに行きました。
その帰り道にちいちゃんはお父さんから「かげおくり」について教えてもらいました。
10秒間地面の影を見つめて空を見上げると、みんなの影法師が空に映って見えました。
次の日にお父さんは戦争に行ってしまいました。
ちいちゃんは毎日かげおくりをして遊んでいましたが、戦争が激しくなって次々に戦闘機が飛んでくるようになりました。
ちいちゃんの楽しい遊び場は、怖いものに変わってしまったのです。
ある日の夜、激しい空襲が起きました。
ちいちゃんは逃げている途中で大勢の人にぶつかって、お母さんとお兄ちゃんとはぐれてしまいます。
ちいちゃんは必死で逃げて、家のあったところまでたどり着きました。
お母さんとお兄ちゃんを待って、朝になってもお母さんもお兄ちゃんも帰ってきません。
夜になってちいちゃんは近くの防空壕でひとりぼっちで寂しく寝ました。
朝になって防空壕から出ると、空の上からお父さん、お母さん、お兄ちゃんの声が聞こえました。
ちいちゃんはかげおくりをしたくなり、影を見つめて空を見上げると4つの影がありました。
その瞬間、ちいちゃんの体は空に吸い込まれていき、向こうからお父さん、お母さん、お兄ちゃんが笑いながら走ってきました。
名言の状況
ちいちゃんのお父さんは体があまり丈夫ではないけれど、戦争に行かなくてはいけませんでした。
お父さんの出征の前の日、ちいちゃんたちは家族でお墓参りに行きます。
その帰り道にはお母さんがぽつんと小さくこうつぶやいたのです。
でもそれはちいちゃんにしか聞こえませんでした。
名言の本質
お父さんは体が弱いから、なかなか召集がかからなかったのでしょう。
そのお父さんまでが呼ばれたということは、いよいよ戦況が追い詰められて兵隊さんが足りなくなってきたという事態になったということです。
恐らくお母さんは、この戦争はもうだめだろうと思っていたのでしょう。
そして、お父さんはもう帰ってこれないだろうとも思っていたのかもしれません。
でもそんなことを誰かに聞かれると警察に逮捕されてしまうかもしれない時代でした。
お母さんは本当は大きな声で言いたかったのでしょうが、こんな悲しいことはちいちゃんが大きくなってもあってはいけないと、ちいちゃんにだけ聞こえる声で言ったのでしょう。
行動への応用
まずは思っていることを言えなかった時代があったことを忘れずに、その時代を大変な思いで変えてきてくれた過去の人たちに感謝をしなくてはいけません。
戦争のころは言いたくても言えない状況でしたが、今は言論の自由が保障されていて、誰でも自由に意見を言うことができます。
そして、口では言えなくても文章にしたりSNSでつぶやいたりとアウトプットできるツールはたくさんあります。
逆に言えば言葉にしないと伝わらない時代ともいえるのではないでしょうか
「黙っていても察してくれ」とか「空気を読め」という時代はもう過ぎ去ってしまいました。
もちろん、誰かを傷つけたりだましたりするようなことはだめですが、これほど”自由な言葉”が重要視されている時代はもう来ないかもしれませんね。
『ちいちゃんのかげおくり』の他の名言
そうです。ひろい 空は たのしい ところではなく、とても こわい ところに かわりました。
ちいちゃんの遊び場は、かげおくりをする広い空でした。
お父さんに教えてもらった楽しい遊び場だったのに、毎日飛行機が飛んできて怖い場所に変わってしまいました。
ここでも、戦争の悲惨さについて語っていますね。