ひとりでいることができぬのか?
「一人でいるのが耐えられない!」という人が
バンビは森の茂みの中で生まれました。
何にでも興味津々なバンビはお母さんに質問するのが大好きで、お母さんは何でも答えてくれました。
でも、お母さんはわざと答えてくれないことがあって、その時は自分で考えないといけませんでした。
バンビが成長するにつれて、お母さんはバンビを少しづつ遠ざけていきました。
バンビがそのことを一人でいることを寂しく思っていると、「古老」と呼ばれている長老の鹿と出会いました。
古老はバンビが一人で寂しがってお母さんを呼んでいるのを見て、厳しい声でこう言いました。
「一人でいることができぬのか?はずかしいことだ」
ある日、バンビが草原にいると雷のような音が鳴り響き、動物たちが懸命に逃げようとしています。
バンビの目の前にいた一匹の若い鹿が倒れました。
呆然としているバンビにお母さんが叫んでいます。
「走りなさい!あいつがきたのよ!」
バンビの近くにはもうお母さんはいませんでした。
しばらくすると、古老が現れて、バンビは一緒に森の奥へ入っていきました。
数年後、バンビはたくましい雄鹿に成長していました。
ある日、バンビは親に置き去りにされた2頭の子鹿に出会いました。
寂しそうにお母さんを呼んでいる2頭の子鹿にバンビは厳しい声で言いました。
「一人でいることができぬのか?」
お母さんとはぐれてしまったバンビは、寂しくてお母さんを呼び続けていました。
すると古老が現れて、バンビを一喝しました。
「お前の母親は今お前の面倒をみることができぬのだ!」
「ひとりでいることができぬのか?」
バンビは古老に認めてもらいたい、褒めてもらいたいとそれから1人になってもお母さんを呼ぶことはしませんでした。
バンビが古老から教えられたことは数多くありますが、その中でも一番大切なことは「ひとりでいなくてはだめだ」ということでした。
自分をしっかりと保っていようとおもえば、生きるということをわかろうとおもえば、聡明になりたいとおもえば、ひとりでいなくてはならないのです!
バンビが生きているのは、厳しい自然界です。
生きるためにはいつまでもお母さんに甘えて頼るわけにはいきません。
早く自立することが不可欠です。
一人でいるということは、生きるために必要不可欠なことなんです。
SNSが発達した現代は「一人でいる」ことはまずないですよね。
部屋に一人でいるにしても、SNSが通じていないと不安でいたたまれない。
今の人たちは誰かとつながっていないと不安で孤独に耐えられないとも聞きます。
しかし、「一人でいること」は生きるために人を育てるんです。
ここで「一人でいる」ことのメリットをあげてみましょう。
一人になることで、自分自身と対話をする時間を持てます。
この先どうすればいいのか?
何をしたらいいのか?
誰かといては話しかけられたりして、じっくり自分と向き合うのは困難です。
一人でいると当然、自分で決断せざるを得ません。
もし、誰かの言うことをそのまま聞いて失敗したら、その人との関係も悪くなるかもしれません。
自分で決断したのなら誰のせいにもできなく、また失敗したくないから慎重に考えるようになり後悔も少なくなります。
全て自分でやらないといけないので、当然行動力が上がります。
誰かと一緒にいると、その人任せになってしまって積極的に行動することがなくなってしまいます。
お母さんとずっと一緒にいたら、バンビはいつまでたってもお母さんの後ろをついていっていたでしょうね。
誰かに依存して生きていくのは楽ですが、もしその人に何かあったらどうしますか?
いきなり一人でほっぽり出されても、どうしていいか分からず右往左往してしまいます。
独立心を養うのは、生きていくためには必須の力です。
なんだかんだで一人でいると寂しい時もあります。
そんな時に誰かからのメールやメッセージが来ると、普段はスルーしててもなんだか妙にありがたく感じます。
すると人のありがたみを知り、今度会ったときは優しくしようと思えるのです。
自分で聞く、嗅ぐ、見る。自分で習うのだ。
バンビはみんなのいう‟あいつ”が誰なのか分かりません。
古老に尋ねるとこう言われました。
動物でも人間でも生きるのは難しく危険なことがたくさんあります。
自分で学んでいくクセをつけないと、生き残っていくことはできませんね。
身だしなみをきちんとしようとおもうものは、自然に落ちるのを待ってなんかいませんでした。
バンビが大人になるにつれて、角も大きくなってきます。
角が大きくなる時には周りの皮がむけていくのですが、バンビは自ら木にこすりつけて皮を落とそうとしています。
早く大人になりたいバンビは自然に落ちるのなんかまっていられません。
もっとも恐ろしいのは、みんながあのイヌがいったことを、そうだとおもうことだ。そうだと信じて一生を不安いっぱいで送る、あいつを憎み、互いを憎み・・・そして、あいつのために互いに殺し合うことだ
イヌは”あいつ”に飼われていて、”あいつ”のことを崇拝しています。
「あの人はなんでもできるんだ!全能なんだ!おれたちの上におられるんだ!あの人にはお前たち(動物たち)は逆らえないんだ!」
古老はバンビに言いました。
「イヌは確かに恐ろしい。でももっと恐ろしいことは・・」
不確かな情報でお互いが疑心暗鬼になってしなくてもいい戦いをしてしまうのは、現代社会の縮図ですよね。
SNSが発達してきた今だからこそ、確かな情報を知る必要があります。
イヌの言ったことがいかに不確かであったかは次の名言で明らかになります。
あいつはわれわれの上にいるのではないのだ!われわれの隣にいるのだ。そして、われわれと同じなのだ。
草原に”あいつ”が倒れていました。
何かの動物にやられたのでしょう。
それを見た古老がバンビに言ったのがこの名言です。
今まで全ての動物の上に存在していると思っていた”あいつ”が実は動物たちと同じだったとバンビは知ることができました。
そして、さらに動物たちより、”あいつ”より上にいるものがあることが分かって、古老は安心してバンビの元から去っていきました。
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