子どもは誰でも、ここから地上に生まれていくのですよ。
だから、それぞれその日がくるのを待ってるんです。
自分の生きている意味、価値が分からない人が
『青い鳥』
作・メーテルリンク
訳・堀口大学
チルチルとミチルは貧しい木こりの家の兄妹です。
クリスマスイブの夜なのに家にはクリスマスツリーもご馳走もなく、二人はただ寝るように母親からも言われてしまいます。
2人がベッドに並んで寝ていると、突然見知らぬおばあさんがドアを開けて入ってきました。
そして二人に孫娘の病気を治す「青い鳥」を探してくれるように頼んできます。
チルチルは以前父親が捕ってきてくれたキジバトをおばあさんに見せますが、どうやらそれは青い鳥ではないようです。
するとおばあさんはチルチルに光るダイヤのついた帽子をかぶせます。
そのダイヤを左に回すと、七色の輝きとともに「時間」「火」「パン」「光」などの精が次々に現れました。
そして、イヌもネコも二本足で立ちあがり、言葉を話し始るのでした。
「光」に案内されながらチルチルとミチルは1年かけて「思い出の国」「夜の御殿」「森」「墓地」「幸福の花園」「未来の王国」を巡りましが、「青い鳥」を見つけることはできませんでした。
するとここでチルチルとミチルの夢が終わり、二人はベッドで目を覚ましました。
そして隣の家のおばあさんが病気の孫娘のために、青い鳥が欲しいと訪れてきました。
ふとチルチルが部屋にいるキジバトを見ると、なんと青い鳥に変っていました。
その「青い鳥」を渡すと隣のおばあさんの孫娘の病気は治ってしまいました。
チルチルとミチルははるばる遠くまで青い鳥を探したけれど、本当はこんな近くにいたのでした。
チルチルとミチルが最後に訪れたのが「未来の王国」でした。
そこは青空の色をした宮殿の大広間で、ダイヤモンドの力がないと見えない国なのです。
そして、たくさんの子どもたちが楽しそうに遊んでいます。
子どもたちはチルチルとミチルのことを「生きている子供たち」と言いながら珍しそうに駆け寄ってきました。
その時に「光」が言った言葉です。
あの子たちは自分たちがまだ生きていないからですよ。
自分たちの生まれるときを待ってるんですよ。
子どもは誰でも、ここから地上に生まれていくのですよ。
だから、それぞれその日がくるのを待ってるんです。
おとうさんやおかあさんが子供が欲しいと思うと、あの右手に見える扉が開いてそこから子供たちは降りて行くのです。
「未来の王国」にいる"これから生まれてくる子どもたち"にはそれぞれ生まれてからの役割や運命が決められています。
などなど・・・
そして、子供たちを送り出すのは「時の精」です。
「時」は出ていく子供たちを一人一人見ながら、"生まれるべき"子供たちを次々に送り出します。
まだ生まれたくないと泣く子供や、あの子と離れたくないと訴える子供も容赦なく送り出します。
つまり
「人間は誰でも使命や役割を持っている」
ということです。
「自分には何のとりえもない」 とか「なんのために生まれてきたのか分からない」と悩んでいる人は多いですよね。
そんな時にはこの言葉を思い出してください。
あなたが今この地上にいるということは、役割や運命が決められたから生まれたのです。
何もない人間は地上に降りられません。
「時」は「病気でも犯罪でもいいからとにかく何かを持って生まれろ」とひどいことを言っていますが、実際に犯罪者になるのは嫌ですよね。
そこで、私は与えられた運命や役割は一つではないと思っています。
病気や犯罪で自分にも他人にも害を及ぼすことで人生を終わることはないはずです。
そういうこともあるかもしれませんが、必ず誰かの役に立つという使命は誰もが持っているはずです。
もしかしたら、あなたがいるということ自体が誰かの心の支えになっているのかもしれません。
とにかく、「未来の王国」にいるたくさんの子供たちの中から選ばれて生まれてきたのですから、それだけでもすごいことだということを忘れないでください。
それが「青い鳥」がもたらす幸せなのかもしれませんね。
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